「コツコツ貯金しているけど、将来のインフレや低金利が心配……」「投資も気になるけれど、リスクが怖い」。そんな悩みを抱える人は多いのではないでしょうか。貯金は大切ですが、長引く低金利の影響もあり、ただ預けておくだけでは資産が増えにくい時代。それでも、全額を投資に回すのはリスクが高いですよね。本記事では、貯金と投資のバランスの取り方をわかりやすく解説し、安心できる家計づくりのヒントをお伝えします。
なぜ“貯金だけ”では不安なのか?
低金利による実質目減り
銀行預金の金利が年0.001%といった超低水準だと、100万円を1年預けても利息は数十円ほど。これでは、物価がわずかでも上昇すれば実質的に資金の価値が目減りする可能性があります。長期的に見れば、「貯金だけでは資産を増やせない」という現実が浮き彫りです。
インフレや将来の不確定要素
将来的に物価が上がったとき、同じ100万円でも買える物やサービスの量が少なくなるかもしれません。さらに、年金制度や医療費負担など、将来に対する不安が多い現代だからこそ、お金の「実質的な価値」を守る手段を考えておく必要があります。
それでも“投資オンリー”は危険?
生活防衛資金の確保は必須
投資には必ずリスクが伴います。相場の下落や経済状況の変化で、元本割れが起きる可能性も。家賃や光熱費といった生活に必要不可欠なお金や、万が一の医療費などを投資に回してしまうと、急な出費に対応できなくなる恐れがあります。
そこで重要なのが、まず数カ月〜半年分の生活費を銀行預金など流動性の高い形で確保しておくこと。これを「生活防衛資金」と呼び、投資の前提条件と考えるのがおすすめです。
投資経験やリスク許容度を見極める
投資経験が浅い人や、値動きによって精神的に不安定になりやすい人が、全財産を投資に回すのは危険。仮に損失が出ても生活に支障が出ない範囲で運用額を設定し、無理のないスピードで投資を学んでいくことが大切です。
貯金と投資、どうバランスを取る?
目安は「貯金:投資=7:3」から
どのくらいの割合で貯金と投資を分けるかは、ライフステージやリスク許容度によって変わりますが、投資初心者には「7:3」くらいのバランスを勧める専門家も多いです。生活防衛資金を確保したうえで、余裕資金の一部(30%程度)をつみたてNISAやiDeCo、インデックスファンドなどの比較的リスクが低めの商品に回すイメージです。
年代別に考える
- 20〜30代
将来にわたる投資期間が長い分、多少リスクを取ってでも株式投資などにチャレンジしやすい。生活防衛資金を確保しつつ、収入アップと並行して投資額を増やすのも◎。 - 40〜50代
教育費や住宅ローンがかさんでくる時期。貯金比率を高めにキープしつつ、無理のない範囲でインデックス投資などを継続すると、老後資金の積み立てに役立つ。 - 60代以降
投資対象を安定型にシフトしたり、現金・定期預金を多めに持つなど、リスクを抑えたポートフォリオを検討する。
貯金×投資を上手に運用するコツ
自動積立でラクラク運用
投資を「貯金と同じ感覚」で続けるには、自動積立設定がおすすめ。銀行口座から毎月決まった金額を投資信託やiDeCoに振り替える仕組みをつくれば、手間なくコツコツ投資が可能です。貯金分も積立定期預金などで自動的に積み立てるようにすると、「残ったら貯金しよう」という発想を卒業できます。
運用成果は定期的にチェック
投資を始めると「ほったらかし」でもある程度はOKですが、年に1〜2回は運用成果をチェックし、必要に応じてポートフォリオを見直す習慣をつけましょう。貯金とのバランスが偏りすぎていないか、ライフスタイルの変化に対応できているかを確認することで、無理のない家計運用を維持できます。
目標設定でモチベーションUP
老後資金や教育費など、明確な目標を設定すると、貯金と投資を続けるモチベーションが上がります。「子どもが大学に進学するまでに500万円用意したい」「老後までに資産1000万円を築きたい」など、ゴールを数値化しておくと日々の管理が楽しくなるでしょう。
無理なく両立してこそ、家計は安定する
貯金は安全性が高く、いつでも引き出せる安心感があります。一方で、長期的な資産形成を考えれば、投資での運用も検討したいところ。大事なのは、貯金と投資それぞれのメリットを理解し、リスクを取りすぎない範囲でバランスよく活用することです。
まずは生活防衛資金をしっかり確保し、その上で自動積立による投資を少額からスタートしてみましょう。年代やライフステージに応じて調整を重ねながら、ストレスなく貯蓄と投資を両立できれば、将来への不安をグッと減らせるはずです。