将来の年金だけでは不安……と感じている方は多いのではないでしょうか。そんなとき、自分でコツコツ積み立てながら節税もできる仕組みとして注目を集めているのが「iDeCo（イデコ）」です。特に会社員にとっては、所得税や住民税を軽減しながら老後資金を準備できるため、上手に活用すれば大きなメリットを得られます。本記事では、iDeCoの基本や始め方をわかりやすく解説します。

iDeCoってどういう制度？

自分で作る“私的年金”

iDeCo（個人型確定拠出年金）は、自分で掛金を拠出して、そのお金を投資信託や定期預金などで運用し、60歳以降に受け取る仕組みの制度です。企業型確定拠出年金とは違い、自分が加入する金融機関を選び、掛金をどのように運用するかも自由に決められます。

節税メリットが大きい

iDeCoの大きな特徴は、掛金を拠出した分だけ所得控除の対象になること。たとえば毎月2万円をiDeCoに拠出した場合、そのぶん所得が低く計算されるため、所得税や住民税が減ります。また、運用益も非課税扱いとなり、受取時には公的年金等控除や退職所得控除を活用できるため、二重三重に節税効果があるのです。

会社員の掛金上限と注意点

掛金上限は月2万3000円（多くのケース）

会社員の場合、企業型確定拠出年金に加入しているかどうかによって、拠出できる上限額が変わります。企業型DCに加入していない一般的な会社員なら、月最大2万3000円まで掛けられるのが一般的です。
ただし、勤務先が企業型DCを導入している場合や、公務員・専業主婦（夫）など、職業や就業形態によって上限は異なるので自分に合った限度額をチェックしましょう。

勤務先に確認が必要な場合

企業型DCに加入している方は、会社の規約によってiDeCoへの加入が制限されているケースがあります。まずは就業規則や人事部に確認して、自分がiDeCoに加入できるかどうかを確かめましょう。

iDeCoのメリット

所得控除で税金が安くなる

iDeCoの掛金は全額所得控除の対象になるため、課税所得が下がり、その分、所得税・住民税が安くなるのが最大の利点。年収や家族構成によって節税額は異なりますが、積立期間が長いほどトータルの節税効果が大きくなります。

運用益も非課税で効率的

運用益が出たときも、通常なら約20％の税金がかかりますが、iDeCo口座内の運用益は非課税扱いです。そのため、複利効果をフルに活かして資産を増やせる可能性が高まります。

老後資金づくりに最適

iDeCoは基本的に60歳まで原則引き出し不可という制約がある分、途中で使いこんでしまうリスクが少なく、着実に老後資金を積み立てられます。半強制的な年金貯金として、将来の安心材料を増やせるのが魅力です。

iDeCoのデメリットや注意点

60歳まで資金ロックされる

先述の通り、iDeCoは原則60歳までは引き出しができません。住宅購入や教育費など、中途で資金が必要になる可能性がある場合は、別途貯蓄やつみたてNISAなどでの準備も検討したほうが安心です。

手数料がかかる

iDeCoは、口座管理手数料や運営管理手数料などが月々数百円～かかる場合があります。金融機関によって手数料は異なるため、手数料の安いネット証券を選ぶ方が長期的にはお得になるでしょう。

投資リスクはゼロではない

iDeCoの運用商品には、投資信託や保険、定期預金などさまざまありますが、投資信託を選んだ場合は相場変動リスクを避けられません。元本割れの可能性もあるため、自分のリスク許容度に合わせて商品を選択する必要があります。

iDeCoを始めるステップ

金融機関を選ぶ

手数料や取り扱い商品のラインナップを比較して、ネット証券や銀行などから自分に合ったところを選びます。

加入資格の確認

企業型DCとの併用可否や職業ごとの掛金上限をしっかりチェック。

口座開設の手続き

申し込み書類に記入のうえ、勤務先に証明書を作成してもらう場合もあります。

運用商品を決める

インデックスファンドや定期預金など、リスクとリターンを考えて配分を決定。

60歳までコツコツ積み立てる

積立額や商品はライフステージに合わせて見直すこともできます。

会社員こそ活用したい“節税×老後備え”の強い味方

iDeCoは自分の意志で掛金を拠出しながら、所得控除＋運用益非課税の強力な節税効果を得られる仕組み。特に会社員の場合、毎月の給与から掛金を拠出するだけで確実に老後資金を積み立てられるため、「貯蓄を怠りがち」という人にもぴったりです。
ただし、60歳まで引き出せないという制約や、金融機関の手数料・取り扱い商品の違いなど、押さえておきたいポイントも多々あります。まずは自分の企業型DC加入状況を確認し、金融機関の比較をしながらiDeCoを始める準備を進めてみましょう。将来の暮らしをより豊かにするための一歩として、節税メリットを上手に活かしてみてください！